トレチノイン外用療法について

当院では、シミ・しわ・ニキビなどの肌悩みを細胞レベルから根本的に改善する治療薬として、強力な肌再生作用を持つ「トレチノイン外用剤」の処方を行っています。皮膚科専門医の管理のもと、患者様一人ひとりのお肌の状態に合わせた安全で効果的な治療プランをご提案いたします。
トレチノイン外用剤とは?
トレチノイン(オールトランスレチノイン酸)は、ビタミンA(レチノール)の活性代謝物であり、米国FDA(食品医薬品局)においてニキビや光老化(シミ・しわ)の治療薬として認可されている医療用の外用薬です。
市販の化粧品や美容液に配合されている「レチノール」と名前は似ていますが、その効果には決定的な違いがあります。
•約50〜100倍の強力な生理活性
レチノールは皮膚に塗布された後、肌の中で段階的な変換プロセスを経て初めて効果を発揮するため、作用がマイルドです。一方、トレチノインは「最終形態」のまま皮膚細胞の受容体に直接結合するため、レチノールの約50〜100倍という極めて強力な効果を発揮します。
•医師の処方が必要な「医療用医薬品」
トレチノインはその高い効果と引き換えに、赤みや皮むけなどの一時的な副反応を伴うため、日本では化粧品への配合が禁止されています。薬局やネット通販での市販も法律で禁止されており、必ず医師の診察と指導のもとで使用する処方薬に分類されています。
トレチノイン外用剤の効果・作用とは?

トレチノインは、表皮から真皮まで皮膚の複数の層に働きかける外用薬です。肌のターンオーバーを促進するとともに、コラーゲンの産生を促すことで、シミ・小じわ・ニキビ・ニキビ跡など、さまざまな肌悩みの改善が期待できます。
一般的な化粧品成分と比べて作用が強く、皮膚の生まれ変わりを促す効果が高いことから、医師の管理のもとで使用する医療用外用薬として広く用いられています。
1.表皮ターンオーバーの強制加速(サイクルを約2週間に短縮)
通常、健康な肌は約4〜6週間(約28〜40日)かけて生まれ変わりますが、加齢とともにこのサイクルは遅くなります。トレチノインは表皮の基底層にある細胞分裂を強力に促進し、生まれ変わりのサイクルを約2週間にまで短縮します。これにより、メラニン色素を含んだ古い角質を急ピッチで表面へ押し出し、垢としてはがし落とします。
2.真皮層でのコラーゲン・エラスチンの生成促進
皮膚の深い層(真皮層)に存在する線維芽細胞を刺激し、肌の弾力を司るコラーゲンやエラスチンの新生を強力にサポートします。
3.皮脂分泌の抑制と角質の正常化
皮脂腺の働きを抑えて過剰な皮脂の分泌を抑制し、毛包の異常な角化(毛穴の詰まり)を防ぎます。
4.ヒアルロン酸分泌の増加
表皮内のヒアルロン酸の分泌を高めることで、肌の水分保持力を高め、みずみずしい質感を保ちます。
こんなかたにおすすめです
- 年齢とともに濃くなってきたシミ・そばかす・くすみを薄くしたい方
- 他院のレーザー治療や保険治療、市販の美白化粧品で効果を実感できなかった方
- 両頬に広がる左右対称の「肝斑(かんぱん)」にお悩みの方
- 目元・口元の小じわや、お肌のハリ・弾力の衰えが気になる方
- くり返す大人ニキビ、毛穴の黒ずみ・開き、ザラつきを根本から治したい方
- 医師の適切なサポートのもと、自宅で本格的な医療美肌治療を行いたい方
期待できる治療効果
トレチノイン外用治療は、皮膚の浅い層(表皮)に存在する色素トラブルや、真皮の光老化に対して極めて高い効果を発揮します。
表在性のシミの改善
老人性色素斑(日光によるシミ)、雀卵斑(そばかす)、ニキビ跡や傷跡などの炎症後色素沈着、肝斑に対して非常に高い漂白効果が期待できます。特に美白剤である「ハイドロキノン」と併用することで、トレチノインが古いメラニンを排出しつつ、ハイドロキノンが新しいメラニンの生成をブロックする「攻めと守り」の強力な相乗効果を発揮します。
小じわの軽減・ハリと弾力アップ
真皮のコラーゲン産生が促され、皮膚が内側からふっくらと厚みを取り戻すため、目元や口元の小じわが目立ちにくくなり、肌全体に若々しいハリと弾力が生まれます。
ニキビ・毛穴づまりの根本改善
毛穴を塞ぐ角栓(コメド)を物理的に剥離し、皮脂分泌を抑えるため、活動性のニキビを減少させるとともに、新しいニキビができにくい健康的な肌環境を構築します。毛穴の引き締めやざらつきの改善にも効果的です。
※注意:真皮の深い部分にあるアザ、太田母斑、ADM、ほくろ、盛り上がりのあるイボ(脂漏性角化症など)には効果がありません。これらにはレーザー治療や切除手術など別のアプローチが必要です。
リスク・副作用
~治療が受けられないかた・注意が必要なかた~
【主な副作用と副反応】
•A反応(レチノイド反応 / レチノイド皮膚炎)
治療開始から数日〜2週間以内に、塗布部の赤み、皮むけ(ポロポロと古い角質が剥がれる)、乾燥、ピリピリとしたヒリヒリ感などがほぼ全員に現れます。これはアレルギーではなく、お薬が正常に作用して肌が急ピッチで生まれ変わっているプロセス(正常な反応)です。通常は使用開始1〜2週間をピークに、3〜4週間で肌が慣れて落ち着いていきます。
•炎症後色素沈着(PIH)
A反応の炎症が強すぎる状態で強い紫外線を浴びたり、肌をこすったりすると、かえってシミが濃くなってしまうリスクがあります。
治療が受けられない方(禁忌)
•妊娠中・授乳中・妊娠の可能性がある方、妊活中の方
ビタミンAの内服において催奇形性(胎児への奇形リスク)が報告されています。外用剤による全身への吸収量は極めて微量ですが、当院では安全性を最優先し、使用を一切禁止としております。治療中および治療終了後少なくとも1ヶ月間は確実な避妊を行ってください。
•活動性の湿疹、強い皮膚炎、感染症、傷、強い日焼け直後の部位がある方
強い刺激によって炎症が著しく悪化する恐れがあるため使用できません。
•過去にトレチノインやハイドロキノンで強いかぶれ(接触皮膚炎)を起こしたことがある方
•12歳未満のお子様
大人の皮膚に比べて薄くデリケートなため、強い赤みやただれ、重度の色素沈着を起こすリスクがあり、使用を控えていただいています。
注意が必要な方・注意事項
•重度の敏感肌・極度の乾燥肌の方
刺激が出やすいため、通常より低い濃度や低い頻度(週に2〜3回程度)から慎重に使い始める必要があります。
・スキンケアの併用注意
レチノール配合化粧品、AHA(グリコール酸や乳酸)、BHA(サリチル酸)などのピーリング剤、スクラブ洗顔、アルコール濃度の高い製品、他のニキビ治療薬(ベピオゲルなど)との同時併用は、刺激が過剰に重複するため避けてください。
・美容施術との兼ね合い
顔のワックス脱毛、ケミカルピーリング、レーザー照射、ダーマペンなどの施術を行う前後1〜2週間は、トレチノインを必ず休薬してください。
治療の流れ
- 1 診察・カウンセリング
医師がシミの種類や肌質、ニキビの状態を正確に診断します。まずは肌に余計な負担をかけないよう、基本的には低濃度(0.025%または0.05%)から治療を開始する「ステップアップ方式」をご提案します。
- 2 処方とお薬の使い方指導
お肌の状態に最適なトレチノインを処方します。 夜の洗顔後に、【洗顔 → 保湿 → トレチノインを気になる部分にごく薄く塗る → 全体の保湿】という、正しい順番と塗る範囲、紫外線対策について丁寧にご説明します。
- 3 定期的な経過観察(使用開始2〜4週間後)
使い始めてから2〜3週間が経過した頃に一度再診をしていただき、A反応の出方や肌の炎症度合いを確認します。状態を見ながら、使用頻度の調整(毎日から2日に1回にするなど)や、徐々にお薬の濃度を引き上げる調整を行います。
- 4 治療の完了と「休薬期間」の導入
トレチノインを長期間(2〜3ヶ月、あるいは4〜8週間程度)使い続けると、肌に「耐性」が生じて効果が徐々に低下します。そのため、約2〜3ヶ月継続した後は、必ず「約1ヶ月間の休薬期間」を設けます。この休薬期間中はトレチノインをお休みし、ハイドロキノンやビタミンC、高保湿剤のみで肌をいたわって感受性をリセットします。
よくあるご質問
どのくらいで効果が出ますか?
個人差はありますが、一般的な日光によるシミでは、早い方で数週間〜1ヶ月、多くの方は3ヶ月前後から徐々に薄くなるのを実感し始めます。
赤みや皮むけは必ず出ますか?
使用初期には多くの方に現れます。これは肌の生まれ変わりが急ピッチで進んでいる「お薬が効いている証拠(A反応)」ですので、我慢できる範囲の軽微な症状であればそのまま使用を継続してください。あまりに痛みが強い、腫れや水ぶくれがある場合は使用頻度を減らすか、一度中止して医師にご相談ください。
ドラッグストアや通販で購入できますか?
いいえ、トレチノインは日本では「医療用医薬品」に分類されているため、市販は一切されていません。医師の処方箋が必要となります。海外からの個人輸入品は濃度や品質が保証されておらず、アレルギーやかぶれなどの強いトラブル時の対応も難しいため、自己判断での使用は避けてください。
妊娠中や授乳中に使えないのはなぜですか?
ビタミンAの内服薬において胎児への催奇形性の懸念が強く報告されているためです。外用薬による体内への吸収量は極めて少ないと結論づけられていますが、日本国内では安全性を最優先し、外用薬であっても妊娠中・授乳中・妊娠予定の方の使用は禁止(禁忌)とされています。
お薬は顔全体に塗ってもよいですか?
基本的にはお勧めしていません。顔全体に塗ると全体に強い赤みや乾燥を引き起こしやすくなります。医師の指示に従い、気になるシミやニキビの患部のみに、はみ出さないよう清潔な綿棒などでピンポイントに薄く塗布してください。
化粧品のレチノールとは何が違いますか?
トレチノインと市販のレチノールでは、肌への作用の強さや効果が現れるまでのスピードが大きく異なります。
市販のレチノールは、肌の中で、「レチノール → レチナール → レチノイン酸(トレチノイン)」へと段階的に変換されて初めて作用するため、比較的穏やかに働きます。
一方、トレチノインはレチノイン酸そのものであり、変換を必要とせず直接細胞に作用します。そのため、レチノールに比べて生理活性が約50~100倍高いとされ、肌のターンオーバー促進やコラーゲン産生促進など、より高い効果が期待できます。
ただし、その分、赤み・皮むけ・乾燥などの反応が起こりやすいため、医師の診察・指導のもとで適切に使用することが重要です。
ハイドロキノンと併用する際の正しい手順は?
夜の洗顔後、化粧水などで十分に肌を保湿します。その後、トレチノインをシミの部分に極めて薄く塗ります。薬がしっかり肌に浸透して乾くまで数分間待ち、その上からハイドロキノンを重ねて塗布します。最後に、お薬を塗っていない部分も含め、乳液やクリームで優しく顔全体に保湿をします。
治療中にお化粧(メイク)はできますか?
可能です。ただし、皮むけや乾燥が強い時期はメイクのノリが悪くなったり、肌がデリケートになったりします。メイク前には徹底的に保湿を行い、肌への摩擦や負担を避けるため、石鹸で落としやすいミネラルファンデーションなどを使用し、クレンジングも優しくこすらずに行ってください。
なぜ一定期間使用した後に「休薬期間」が必要なのですか?
トレチノインを長期間漫然と使い続けると、お肌が薬に慣れてしまい、治療効果が低下する「耐性」が生じるためです。そのため、2〜3ヶ月使用した後は一度お薬を中止し、1ヶ月ほど休薬期間を設けることで、お肌の感受性をリセットして再開時に十分な効果が得られるようにします。
保管方法や使用期限を教えてください。
トレチノインは光、熱、空気(酸素)に対して極めて不安定で、室温に長く放置すると分解して薬効が低下してしまいます。そのため、使用後はしっかりと蓋を密閉し、必ず冷蔵庫で遮光保管してください。有効成分の劣化を防ぐため、開封後は2-3ヶ月を目安に使い切るようにし、期限を過ぎたお薬は破棄してください。
料金表
トレチノイン
| 量 | 1回 |
|---|---|
| 5g | 1,100~2,200円 |
※表示金額は全て税込です
お支払方法
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