あせも
Heat rash
症状
あせもとは、大量の発汗に伴って、汗の正常な排出が妨げられることで起こる発疹です。高温多湿下で、汗を出すための管が詰まり、皮膚の中に汗がたまることで起こります。かゆみのある赤く小さな発疹が、たくさん汗をかいた部位に急に現れます。 強いかゆみを伴い、ちくちくした感じや熱感を覚えることもあります。
あせもは、首回りやわきの下周辺、肘回りなど、汗をかきやすく蒸れやすい部位に出来やすいです。見た目として、赤く小さなブツブツや白っぽい水ぶくれの集合体といったものになります。単に皮膚に異変があるのみのパターンとかゆみや痛みが伴うパターンがあります。一般によくみられる、赤みやかゆみを伴うあせもは「紅色汗疹」と呼ばれ、かゆみや赤みを伴わないものは「水晶様汗疹」と呼ばれます。
紅色汗疹(こうしょくかんしん)
表皮部分で汗管のつまりが起きたときに症状が現れます。一般的にあせもと言えば、この紅色汗疹を指す場合が多いです。かゆみや赤みのあるぶつぶつが見られます。場合によっては、湿疹になったり、細菌が増殖して膿が発生したりすることもあります。汗をたくさんかいたときに現れやすいため、乳幼児や肥満の人、汗かきの人によく現れる症状です。
水晶様汗疹(すいしょうようかんしん)
皮膚のごく浅い部分(角層)で汗管のつまりが起きたときに現れます。直径数ミリ程度の透明な水ぶくれがポツポツと現れ、ほとんどの場合でかゆみや炎症はありません。1日~数日で水ぶくれが乾燥して、自然に消えていきます。赤ちゃんの顔にできやすい種類のあせもですが、大人でも発熱時などに発生することもあります。 皮膚の通気をよくし、清潔を保ち、汗をかかない涼しい環境で過ごすことで、通常は数日で自然に治まります。
原因
夏場など、高温多湿の環境で、大量の汗をかくことが原因で起こります。汗を排出する管が大量の汗(汗の成分やアカや汚れ)によって詰まり、行き場のない汗が皮膚の中にたまって周囲の組織を刺激することで炎症を起こし、発疹(小さな水疱や赤みのある丘疹)ができます。暑い環境や運動でたくさん汗をかいたり、通気性の悪い服を着ていたり、ギプスを着用しているときなどに、汗の量が増え、かつ通気が悪い状態のときに起こります。高温多湿下での運動、有熱性疾患、湿布、包帯、ギプス、絆創膏、通気の少ない衣類の着用などで起こりやすくなります。
汗をかく仕組みは、以下の通りです。
- 皮膚には汗腺という汗を分泌する器官が全身にあり、汗腺で分泌された汗は汗管を通って汗孔から体表に出ていきます。
- 周辺温度の上昇や体を動かすことによって、体内に熱がこもると、汗が分泌されます。
あせもは、大量に汗をかくことや蒸れによって、汗を排出する汗管に一時的に汗が詰まって汗が皮膚の外にスムーズに出ていかなくなることが原因で発生します。 「あせも」と間違いやすい「汗によるかぶれ」もあります。 汗をよくかく部位にブツブツができると「あせも」ができたと思われがちですが、汗が刺激となってかいてしまい、炎症を起こしたものは「汗によるかぶれ」で、本来の「あせも」とは異なる疾患です。
注意点
あせもは、大量の汗と蒸れによって発症するため、これらを避けることがポイントです。ただし、汗をかくことが悪いことではありません。放置していると、汗管が詰まることにつながりますので、なるべくこまめにふき取るようにするようにしましょう。あせもが発症した後も、大量の汗と蒸れに注意することで自然と症状が改善される傾向にあります。具体的には、以下のようなことに注意して過ごしましょう。
- 室内では、衣服や室温を調整し、なるべく涼しい環境で過ごしましょう。
- 汗をかいたら、こまめに汗を拭きましょう。
- 通気性や吸湿性がよく、肌あたりのよい木綿などの衣類を着て過ごしましょう。
- シャワーをこまめに浴びるなど、皮膚を清潔に保ちましょう。
- 素肌につけるアクセサリー類は、あせもを助長することがあるため、出来るだけ避けましょう。
- 髪の毛がかかる額や首元などもあせものできやすい部位です。汗をかく時期には髪を結ったり髪留めでとめるなどの工夫もしてみましょう。
- 掻いてしまってもキズができにくいように、爪は短く切っておきましょう。
治療方法
薬物療法
紅色汗疹と水晶様汗疹で治療方法が異なります。水晶様汗疹は、数日で消えていきます。大量の汗と蒸れに注意して、自然と消えていくのを待ちましょう。数日経っても良くならない場合は、早めに受診してください。感染症や他の皮膚症状の可能性があります。
紅色汗疹も1週間程で、自然治癒していく傾向にございますが、炎症が強い場合には非ステロイド系抗炎症薬やステイロイドの塗り薬などを使用します。また、全身のかゆみが強い場合は、抗ヒスタミン薬の内服を用いることもあります。