いぼ(尋常性疣贅)|まつもと皮膚科クリニック|福知山・丹波・丹波篠山市の皮膚科・美容皮膚科

いぼ(尋常性疣贅)|まつもと皮膚科クリニック|福知山・丹波・丹波篠山市の皮膚科・美容皮膚科

いぼ(尋常性疣贅) WARTS

いぼ(尋常性疣贅)

いぼとは、皮膚の一部が盛り上がった小さなできものです。
「いぼ」にはウイルス性疣贅(ゆうぜい)、高齢者に多い脂漏性角化症(しろうせいかくかしょう)、首や脇のしたなどにできる軟性線維腫(なんせいせんいしゅ)という柔らかいできもの、乳幼児に多い水いぼ(伝染性軟属腫:でんせんせいなんぞくしゅ)などがあります。
このうち、多くはウイルス性疣贅であり、皮膚や粘膜にできます。

疣贅の中でも多いタイプをまとめて「尋常性疣贅(じんじょうせいゆうぜい)」、そうでないものは「特殊型」と呼ばれています。
魚の目やタコに似ていますが、通常は、痛みなどの自覚症状はほとんどありません。最も多くみられるのは手や足の指で、通常は数mm~1cm程度の小さな皮膚の盛り上がりができます。
1つだけポツンとできることもありますが、多発することもあり、集まって融合し、面になることもあります。

尋常性疣贅の種類

足底疣贅

足の裏にできるが、表面があまり盛り上がらない。

糸状疣贅

顔や首に生じる細長いいぼ。

色素性疣贅

黒い色素沈着を伴ういぼ。

点状疣贅

手のひらや足の裏に発生し、白い点状のいぼが多く見られる。

原因

原因は、ヒトパピローマウイルス(HPV)と呼ばれるウイルスの感染です。
HPVには多くの種類(型)があり、型の違いでよくできる部位やいぼの形状に違いがありますが、一般的ないぼ(尋常性疣贅)の原因となるのは、主にHPV2型です。HPVは皮膚にできた小さなキズから入り込み、3~6ヵ月を経て、いぼをつくります。お子さまに多くみられ、キズがつきやすい手足や、アトピー性皮膚炎のお子さまの場合では、引っ掻くことが多いひじやわきの下などにもよくできます。
HPVは小さな傷から感染し、感染すると症状がない状態で長い間にわたって潜伏すると考えられています(潜伏持続感染)。その後、HPVが増えると皮膚の表面に疣贅としてでてきます。皮膚の角質が落ちるとそのなかのHPVがまたほかの傷から侵入し、感染することで疣贅の数は徐々に増えていきます。
疣贅は一つひとつが大きくなり、多発すると融合してくっ付いていきます。HPVはひとからひとへうつることが主な感染症であり、銭湯やジム、プールといった公共施設で間接的にうつることもあります。
なお、いぼはいぼでも、「みずいぼ(伝染性軟属腫:でんせんせいなんぞくしゅ)」は、原因となるウイルスも症状も異なる別の病気で、治療法も異なります。

診断

視診

外見だけで診断を下すことが多いです。

ダーモスコピー

拡大機能を備えた特殊な機器を使用して皮膚を観察することがあります。

皮膚生検

確定診断に至らない場合は、皮膚の一部を採取して顕微鏡で調べることがあります。

日常生活の注意点

いぼを触った手で別の部位(特に皮膚が荒れていたり、キズがある部位)を触ったりすることで感染が広がるため、むやみに触らないようにしましょう。
感染力は強くないため、プールやお風呂などを控える必要はありません。
下記のことに気を付けてみてください。

注意点

皮膚を清潔に保つ

毎日シャワーを浴びて肌を清潔に保つことは重要です。特に、手足は丁寧に洗ってしっかり乾かすよう心がけましょう。

公共の場所での注意

プールやジムのシャワーなど、公共の場所でビーチサンダルを使用し、裸足で歩かないようにしましょう。また、公共のタオルや靴は共有しないことが重要です。

皮膚の健康を保つ

肌のバリア機能を保つためには、保湿が大切です。また、傷ができたらすぐに消毒して清潔に保つことが重要です。

免疫力を高める

バランスの取れた食事や十分な睡眠をとり、免疫力を高めることがいぼの予防に役立ちます。

他人のいぼに触れない

他人のいぼに直接触れないようにし、感染を防ぎます。
これらの対策を実践することで、いぼの感染リスクを減らすことができます。

治療方法

液体窒素を用いた冷凍凝固療法

凍結療法:綿棒

いぼといっても、いぼの種類・大きさや数・通院できる頻度・年齢など、どの治療が適しているかは患者さまごとに異なります。当院では、いぼの治療を開始する際に、患者さまごとに適した治療法を検討・提案しています。ここからは、いぼに対する代表的な治療法について解説します。

冷凍凝固療法はマイナス196℃の液体窒素をいぼに当てて凍結させる方法です。尋常性疣贅や脂漏性角化症などのいぼに対する治療法として最も一般的で、保険も適用されている治療法です。治療自体が簡単で何度でも繰り返せるということもあり、広く用いられています。液体窒素を患部に当てる際には、綿棒を使う方法、スプレーで当てる方法、鑷子(せっし)(ピンセット)でつまむ方法などがあります。

冷凍凝固療法:綿棒

実際には、綿棒を使うのが最も一般的です。
メリットは、ピンポイントに小さないぼを狙って治療できることです。いぼが大きい場合は綿棒の先端にさらに綿を巻きつけて補強したものを使うこともできます。綿棒を使えばどんな大きさのいぼでも治療することが可能です。デメリットは処置時の痛みが強いことです。
治療後も患部には数日ほど軽い痛みや腫れが続くことがありますし、大きな水ぶくれや血豆ができ、皮膚に色素沈着を起こすこともあります。

冷凍凝固療法:液体窒素スプレー

液体窒素をスプレーで当てる方法もあります。スプレーだとピンポイントで当てる範囲や強さを調整しづらいというデメリットがありますが、痛みが少なくお子さまでも続けやすいというメリットがあります。

冷凍凝固療法:鑷子(せっし)

ピンセット有茎性のいぼの場合には、鑷子を使う方法も有効です。
この方法では、液体窒素につけて冷やした鑷子でイボの茎の部分をつまみ冷却します。これによって病変を根元から効率よく取り除くことができます。

冷凍凝固療法について

凍結によっていぼの組織が壊死すると、数日でその部分が水疱化してから徐々にかさぶたになり、最終的に脱落して傷になります。
傷が治癒すると正常な皮膚が出てきますが、イボが残っている場合は2週間に1回のペースで同様の治療を続けます。冷凍凝固療法は高い効果が見込めることと、体へのダメージが少ないことがメリットです。強い副作用が出るくらい強く当てた方が、結果としてイボの治りは良い場合が多いです。
治療後は当日から入浴が可能で、ばんそうこうやガーゼで保護する必要もありません。足の裏や爪のまわりのいぼは治りにくいことも多く、数十回の治療を必要とすることもあります。
治療を続けても治りが悪い場合は、別の治療法に切り替えたり、ほかの治療法と併用することも検討します。いずれの方法でも液体窒素をあてる強さや時間は、いぼができている部位・大きさ・厚さ・形状によって微調整をしています。疣贅にはほかにもさまざまな治療法があり、いくつかの方法を組み合わせておこなうこともあります。
患者さまの背景や疣贅のタイプや大きさ、数、発症部位などを考慮したうえで相談しながら治療をおこなっていきます。

どの治療法でも1回で完治することは少なく、複数回の治療(通院)が必要になることが多いです。根気よく治療に臨むことが大切です。

その他の治療方法

モノクロロ酢酸(トリクロロ酢酸)を用いた治療

強い酸性の薬品でいぼの組織を腐食させ、壊死させます。痛みが少ないのがメリットです。冷凍凝固療法自体が痛くて続けにくい・改善に乏しい方は、行うことができます。できるだけ痛みや恐怖心が少なく治療を続けられるように配慮させていただきます。

サリチル酸軟こう・貼付剤による治療

塗り薬や貼り薬でいぼをふやけさせ、いずれ取れるのを待つ治療です。

ヨクイニン内服による治療

内服の漢方薬ハトムギの成分であるヨクイニンを服用することで免疫力を高めていぼの改善をはかります。即効性はありませんが、頻繁に通院できない患者さまに向いています。

電気焼灼法・手術

電気焼灼法とは、電気でいぼを焼き切る方法です。
難治性の場合は、いぼを切除する手術が行われることもあります。

よくあるご質問

Q

尋常性疣贅はどのようにして感染しますか?

A

主に感染者との直接接触や、公共施設(プールやジムなど)での間接接触によって感染します。

Q

尋常性疣贅は自然に治りますか?

A

多くの場合、1〜2年で自然に消失しますが、治療が必要な場合もあります。

Q

尋常性疣贅の治療にはどのくらいの時間がかかりますか?

A

治療の種類やいぼの状態によりますが、液体窒素療法の場合は数週間から数ヵ月かかることがあります。

Q

尋常性疣贅を予防する方法はありますか?

A

皮膚を清潔に保つことと外傷を避けることは重要です。
さらに、感染者との接触を避けることも予防策として効果的です。

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