脱毛症

毛髪が生えて成長し、抜け落ちていくのは自然なことです。
一生抜けない毛髪はなく、絶えず新しいものと古いものが入れ替わっています。通常でも1日に50~100本くらいは自然に抜け落ちており、問題ありません。季節や体調、栄養状態によって、多少の変化はありますが、この範囲内であれば、心配ございません。ただし、1日の抜け毛の量が明らかに多くなったり、毛髪が疎な部分ができてきたら、速やかに治療を始めましょう。
毛が抜けて数が少なくなる「脱毛症」としては、円形脱毛症が代表的で、その他に表のようないろいろなものがあります。どれも原因は違いますので、脱毛状態に対する治療法や対応も異なります。
脱毛症の種類
脱毛症の種類 | 主な原因 | 特徴 | 治療法 |
---|---|---|---|
円形脱毛症 | 自己免疫異常、ストレス、遺伝 | 円形または多発性の脱毛、突然の発症 | ステロイド、免疫抑制剤、光線療法 |
トリコチロマニア | 精神的ストレス、強迫性障害 | 自ら髪を抜く癖が原因、特定の部位の脱毛 | 認知行動療法、カウンセリング |
休止期脱毛 | 出産、ダイエット、ストレス | 全体的な毛量の減少、一時的な脱毛 | 時間経過で自然回復、栄養補給 |
内分泌異常による脱毛 | 甲状腺疾患、副腎機能低下、糖尿病 | 全身または局所的な毛の減少、甲状腺機能異常が影響 | ホルモン療法、基礎疾患の治療 |
栄養障害による脱毛 | 鉄欠乏、ビタミン不足、栄養失調 | 髪が細くなりやすい、毛の成長が遅れる | 食事改善、栄養補助食品の摂取 |
皮膚感染症による脱毛 | 細菌・真菌感染、梅毒、毛包炎 | 炎症やかゆみを伴う、発赤や膿が見られる | 抗真菌薬、抗生物質、局所治療 |
皮膚腫瘍による脱毛 | 皮膚腫瘍、基底細胞癌、悪性黒色腫 | 腫瘍部位の脱毛、悪性の場合進行性 | 腫瘍の切除、放射線療法、化学療法 |
瘢痕性脱毛 | 外傷、火傷、膠原病、硬化性萎縮性苔癬 | 傷跡が残る、毛包が破壊される | 植毛、瘢痕修正手術、局所治療 |
薬剤・化学物質による脱毛など | 抗がん剤、放射線治療、化学物質曝露 | 薬剤使用後に広範囲の脱毛が発生 | 薬剤の中止、支持療法 |
軟毛化によるもの(男性型脱毛症) | DHT(ジヒドロテストステロン)の影響 | 前頭部・頭頂部の薄毛、進行性 | 5α還元酵素阻害薬、ミノキシジル |
毛の脆弱性によるもの(各種の毛髪奇形) | 遺伝性疾患、毛幹の構造異常 | 毛が脆く折れやすい、髪の成長異常 | 毛髪強化剤、栄養療法、特定疾患治療 |
原因

遺伝性のものの他、ストレスや偏った食生活、不規則な生活も原因のひとつです。
脱毛症の種類として、頭部の一部が円形に脱毛する『円形脱毛症』、頭部全体の髪が薄くなる『びまん性脱毛症』などがあります。原因としては、ストレスや極端なダイエット、過度のヘアケアなどがあります。
その他にホルモンが原因で起こる、男性に特有の『男性型脱毛症』、産後の一時的な脱毛症、脂漏によるもの、内臓や免疫異常からくる脱毛症、加齢によるもの、自傷、薬剤性のものなどがあります。
日常生活の注意点
育毛剤を取り入れて発毛を促したり、毎日の頭皮ケアを見直しましょう。
シャンプーの仕方、生活リズム、食生活、適度な運動にも気を配りましょう。
タバコや夜更かし、お酒の飲みすぎも要注意です。
髪の毛を洗うと抜ける気がして、洗う回数を減らしてしまうかたがおられますが、これは逆効果です。
洗わないでいると、毛穴に汚れが残って血流が悪くなってしまいますので、特に気にせずにきちんと洗ってください。
パーマや毛染めは、引っ張らなければ問題はありません。
治療方法
内服・外用療法・注射(保険診療)

保険適用の塗り薬や飲み薬を適宜組み合わせます。
その他の治療方法(凍結療法・紫外線療法・ステロイド局所注射)を併用することもあります。
ステロイド療法
外用薬:皮膚に直接塗布することで炎症を抑えます。
内服薬:急速に進行する場合に使用され、全身的な効果があります。
局所注射:脱毛部位に直接注射し、効果を高めます。
凍結療法
ドライアイスや液体窒素を使用し、脱毛部位を冷却し、免疫細胞の働きを抑えます。
抗ヒスタミン薬の内服療法
アレルギー反応を抑えます。アトピー素因のあるかたに有効です。
セファランチン内服療法
血流を促進し、頭皮に栄養を届けることで発毛を促します。
漢方薬治療
加味逍遥散や桂枝茯苓丸などを使用し、体質改善を目指します。
局所免疫療法
化学物質【SADBEまたはDPCP】を脱毛部位に塗布し、人工的にかぶれを起こすことで発毛を促進する「局所免疫療法」については、地域の基幹病院をご紹介いたします。
まずは一般皮膚科保険診察を受診してください。
紫外線療法

紫外線療法は、光線療法の1つで、近年小型化と簡便化が進み、有効な皮膚疾患の治療法の1つとして、多くの医院や診療所で導入が進んでおります。
紫外線が持つ、免疫の働きを調節する作用を活用し、尋常性乾癬や白斑、アトピー性皮膚炎、円形脱毛症などの治療に用いられています。1回あたりの治療時間が短く、痛みがほとんど無いのも特徴です。
当院では、エキシプレックス308という中波紫外線治療器を採用しております。以前の308エキシマシステムの改良機種であり、紫外線治療法の中でも最新の治療法です。
エキシプレックス308は、別名ターゲット型ナローバンドUVBともいわれ、尋常性乾癬や尋常性白斑などUVB療法が適応とされている皮膚疾患に有用であり、さらに掌蹠膿疱症、アトピー性皮膚炎、円形脱毛症など、様々の難治性疾患に安全かつ有効な治療法であることが報告されています。
特徴
痛みやダウンタイムがない
保険適応
短時間の治療
フィナステリド・デュタステリド内服療法、ミノキシジル外用療法

フィナステリド・デュタステリド内服療法は、男性のAGA治療に用いられます。
ミノキシジル外用剤は、男性・女性ともに有効で、下記の効果があります。
血管拡張作用
ミノキシジルは頭皮の血管を拡張し、毛根により多くの酸素や栄養素を届けます。
これにより、毛根が健康になり、毛髪が強く成長しやすい環境が整います。
毛母細胞の刺激
ミノキシジルは毛母細胞を刺激し、毛包の休止期から成長期への移行を促進します。これにより、新しい髪の成長が促されます。
ヘアサイクルの正常化
AGA(男性型脱毛症)では、ヘアサイクルが乱れ、成長期が短くなっています。ミノキシジルはこの乱れたヘアサイクルを正常に戻し、成長期を延長することで、髪の毛が太く長く成長するのを助けます。
ヘアフィラー

当院では、メスを使わずに、頭皮に薬液を注射するだけの、毛髪用注入剤による育毛治療を行っております。
Dr.CYJヘアフィラーは、髪の再成長、頭皮の再構築のために開発された「ペプチド複合体」が配合されており、従来の成長因子よりも安定した作用が期待できます。性別を問わず施術が可能で、一般的な薄毛や脱毛症のほか、毛髪移植後の定着と発毛を促進させる効果もあります。
他の薄毛治療やトリートメントと組み合わせることも可能で、その相乗効果でさらに高い発毛効果が期待できます。
世界で最初の毛髪用注入剤〜メスを使わない、頭皮に注射するだけの育毛治療〜
機能性ペプチドを配合
男性・女性を問わず薄毛や脱毛症に効果的
HARG+®(ハーグプラス®)療法

~早く効果の実感できる育毛治療~
毛髪細胞に有効なエクソソームのみを頭皮に直接注入することで、毛母細胞が活性化され、成長因子の分泌が促進されます。
これによって発毛に必要な栄養を送り出す機能も活性化されて薄毛、抜け毛を抑制する効果が期待できます。
また男女を問わず、毛母細胞を刺激し、ヘアサイクルを正常化させて、育毛・発毛をうながします。
エクソソーム育毛のメリットは2つ挙げられます。
AGA治療薬より効果が早い
一般的なAGA治療薬に比べて効果の表れるスピードは早いと言われています。
個人差はありますが1回の注射でも約2ヵ月後には地肌が目立ちにくくなり目に見えた効果を実感するかたが多いです。
5回前後続けていくことで、しっかりと治療効果を実感していただくことができ、男女共に細くなった毛をエクソソームの能力によって太く再生していきます。
副作用の心配が少ない
エクソソーム薄毛治療では成長因子や有効成分で発毛・育毛を促がしている為、副作用の心配は少ないと言われています。
当院は京都でHARG+®(エクソソーム)療法を導入している数少ないクリニックです。
京都で薄毛・育毛でお悩みのかたはぜひご相談ください。
安全性が高く副作用が少ない
自分の毛髪で再生される
男性・女性を問わず薄毛や脱毛症に効果的
赤色LED

赤色LEDを頭皮に照射して発育を促す治療法です。
「男性型および女性型脱毛症ガイドライン」によれば、男性型・女性型脱毛症に対する推奨度は『B(行うようすすめる)』と認められています。
赤色LEDは毛母細胞の先端にある毛乳頭に達するほど深く届く光で、これにより毛乳頭細胞が刺激され、毛の発育に必要な細胞増殖因子(FGF-7,IGF-1,VEGF,HGF)や神経伝達物質、栄養が毛母細胞に届きます。この結果、毛母細胞が活性化して抜け毛の抑制や新しい毛の発毛を促す働きが確認されています。
赤色LED治療では、狭帯域の赤色LED光を照射して毛乳頭細胞を活性化させます。治療時間はおよそ10~20分程度で、継続すると効果が上がると考えられています。
赤色LED治療の効果
赤色LEDを1回20分1日3回使用することで、外用薬や経口薬・注射などの併用なしで著明な改善がみられた症例がアデランス社より報告されています。
使用方法は1日1回以上の使用を推奨し、生活リズムに合わせてお使いいただけます。使用時間は1回あたり20分です。
安全性の高さ
痛みや熱はほとんどなく感じません。日焼けややけどの心配もなく、副作用もほとんどありません。ダウンタイムもないため、照射直後からシャワーを浴びたり髪を洗うことができます。
リアップなどのミノキシジル外用薬や、プロペシア(フィナステリド)、ザガーロ(デュタステリド)といった内服薬と併用することも可能です。
男性でも女性でも使用可能
男性のAGA治療薬として有効性の高さが認められているプロペシア(フィナステリド)、ザガーロ(デュタステリド)は、女性の服薬が禁忌とされていますが、赤色LEDならば性別や年齢にかかわらず治療できます。
治療のハードルが低い
赤色LEDは装置が小型化されているため、患者さまご本人が操作して日常的に使うことができる製品が発売されています。
ドライヤーの吹き出し口にLEDが搭載されていたり、帽子の中に収納設置して使うなど、日常生活の中に組み込めば特段意識せずに治療を継続できます。
赤色LED治療のデメリット
機器が高価:治療効果が期待できる専門の機器です。購入には別途費用がかかります。
その他:プラセンタ内服・植毛治療
プラセンタの「血行促進作用」「自律神経調整作用」「疲労回復」「冷え改善」などの薬理効果が、発毛・育毛を助けます。
当院でもプラセンタ内服薬のご用意がございます。ご希望のかたは、スタッフにお申し付けください。
植毛治療をご希望のかたは、他院をご紹介いたします。
よくあるご質問
脱毛症の原因は何ですか?
脱毛症の原因は多岐にわたります。
遺伝やホルモンバランスの乱れ、ストレス、栄養不足、薬剤の副作用などが挙げられます。
脱毛症は遺伝しますか?
男性型脱毛症や円形脱毛症には遺伝性があります。
男性型脱毛症のメカニズムには、X染色体上の男性ホルモンレセプター遺伝子が大きく関わっていることがわかっています。
円形脱毛症は男女問わず全年齢に出現しますが、親が脱毛症だと子どもも脱毛症になりやすいというデータがあります。遺伝の影響は親等が近い家族ほど受けやすいとされています。
もっとも、親が脱毛症だからといって、必ずしも子どもが脱毛症になるとは限りません。
脱毛症予防のためにできることはありますか?
健康的な生活習慣を維持することが重要です。
バランスの取れた食事、適度な運動、十分な睡眠、ストレス管理などが脱毛症の予防に大切です。