TCAクロス
TCAクロスとは?
ニキビによる慢性的な炎症が続くと、『線維化』と言って、皮膚の下の組織が硬くがちがちになります。ニキビ肌のかたの皮膚が硬く厚ぼったくなるのはこのためです。この線維化が局所的に強く起こると、クレーターのように面で凹凸が目立つようになります。
TCAクロス(TCA CROSS:Trichloroacetic Acid Chemical Reconstruction Of Skin Scars)とは、高濃度のピーリング剤であるトリクロロ酢酸(TCA)をピンポイントで患部に塗布し、ニキビ跡の凹みや傷跡を改善する治療法です。
TCAを高濃度で凹みに直接塗布し、皮膚の真皮層まで作用させてダメージを与え、新しい皮膚を作り直す創傷治癒の働きにより、コラーゲンやエラスチンといった成分が作られやすくなります。
そして凹みを内側から押し上げるように、あるいは盛り上げるように、にきび痕や傷跡の凹みを目立たなくしていきます。
施術回数は1回の治療で効果がでるかたもいますが、基本的には1ヵ月に1回、2~6回の治療で症状が徐々に改善していきます。
ニキビ跡の凹凸(クレーター)は主に次の4つに分類されます
ローリング型(Rolling scar)
・直径3~5mm以上で、底辺がU字でなだらかな形状。
・皮膚萎縮や欠損は少なく、改善しうる。
・真皮と筋膜が癒着している
・大きな楕円形のような形状
・底面がお椀型
・ぽこっと大きくくぼんでいるが、くぼみ方がなめらかなもの
・なだらかにくぼんでいるもの
ボックス型(Boxcar scar)
・直径1.5~4mm程度で、深さは様々である。
・周囲が境界明瞭で、底辺が平坦である。
・円形や楕円形の形状で、辺縁が垂直に凹む
・貨物列車のように角張った形をしたものや四角くへこんでいるもの
・メイクで隠しにくい
・皮膚の厚みがある男性や大きなニキビができるかたに起こりやすい
アイスピック型(Ice pick scar)
・直径2~3mm未満の大きさで、先細りの形状。
・真皮深層や皮下まで深さがある。
・穴の開いた部分は狭く、奥に深い。
・毛穴が変形したもの
・アイスピックで突き刺したような形
・クレーターは小さくみえるが、真皮の深部まで凹みがあるので治療が難しい
脂肪萎縮型
真皮深層から皮下組織まで組織の萎縮が進んでしまった状態。
TCAクロスは、アイスピック型、小型ボックス型、その他開いた毛穴に
最も効果を発揮します。
施術内容
TCAクロスとは、50〜100%のトリクロロ酢酸を用いて、化学的な熱傷をわざと起こすことによって、皮膚が治る力を誘導するものです。
熱傷が起きた皮膚が再生しようとする力を促して皮膚が盛り上がるようにしていきます。特徴として、ケミカルピーリングをハードにしたものといえます。細かく深いニキビ跡の凹みを治療するのに適しています。
ニキビ跡治療は、TCAクロス単独の治療でも効果的ですが、肌表面を整える「ポテンツァ・ダーマペン・ピコフラクショナルレーザー・フラクショナル炭酸ガスレーザー」や、「サブシジョン」などの施術を併用すると、さらに効果を実感しやすくなります。
サブシジョンとは、ニキビ跡でへこんでクレーター状になった皮膚の下にある硬く癒着した組織の線維を、針を刺して物理的に切断し、クレーターの陥没した部分を上に持ち上げて凹みを改善する施術です。
施術は、テスト施術からの開始となります。詳しくは診察にておたずねください。
特徴
01
頑固なニキビ跡に効果的
02
他の治療と組み合わせるとさらに効果アップ
03
時間のたった古いニキビ跡にも効果的
期待できる治療効果
~こんなかたにおすすめです~
- ニキビ跡の凹みが治らず悩んでいるかた
- アイスピック型の深いニキビ跡が目立つかた
- 小型の平坦に浅く凹んだボックスカー型のにきび跡が目立つかた
- 他のにきび跡治療(ダーマペンやフラクショナル、ポテンツァなど)で効果が不十分のかた
- 水ぼうそうの傷跡
- 外傷性瘢痕
- レーザー治療でニキビ痕が良くならなかったかた
- 傷跡の凹みが気になるかた
一人ひとりの肌の状態にあわせた施術をご提案
当院では、患者さまお一人おひとりの肌質やニキビ跡の程度に合わせて、最適な濃度のTCAを使用し、治療を行います。
お肌が敏感なかたや、凹みが浅いかたには低濃度のTCAを、肌が丈夫なかたや、凹みが深いかたには高濃度のTCAを使うなど、きめ細やかな治療を心がけております。
また、TCAクロス単独ではなく、他の治療法と組み合わせるなど、総合的な治療プランをご提案いたします。
リスク・副作用
TCAクロスが受けられないかた
- 妊娠中・授乳中
- 治療部に感染症、皮膚疾患があるかた
- 治療部位に刺青、アートメイクのあるかた
- ケロイド体質のかた
リスク
TCAクロス後の経過・注意点
・白くなった部位がかさぶたになることがあります。1週間程度で剥がれ落ちますので無理にはがさないでください。
・かさぶたが剥がれた後はピンクの肌になります。3~6ヵ月かけて元の肌色に戻ります。
・炎症後色素沈着を起こした場合も個人差がありますが、3~6ヵ月かけて元の肌色に戻ります。
・施術部位に日焼けをすると色素沈着しやすくなります。日焼け止めなどを使用して遮光をしてください。
治療後の管理(1〜2日)
・ホワイトニングは数時間後になくなります
・1~2日後、赤くなります
・治療部位はワセリンを塗布してください
治療後の管理(3〜7日)
・3~7日でかさぶたが出来ます(ハッキリしない時もあります)
・かさぶたが出来た後にメイクが可能です
・かさぶたには少量のワセリンを1日3〜4回塗ってください
・かさぶたは1週間ほどで剥がれます
・かさぶたは無理に剥がさないでください、自然に剥がれます
・かさぶたの幅は、傷跡の部分よりも少し広くなることがあります
治療後の管理(7日〜)
・しっかりと日焼け止めを塗ったり、帽子を着用してください
・摩擦を防止してください、マスクなどによる摩擦はシミの原因となります
・かさぶたが取れた後に、赤みが14~60日続きます
施術時間は10~15分程度です(範囲によって変わります)。
回数を重ねることにより高い効果が期待できます。
1ヵ月程度の間隔で3~5回の治療を推奨しています。
アレルギーの有無の確認のため、初回は2箇所ぐらいをおすすめしています。
副作用
ダウンタイムについては、深いくぼみに高い効果がある分、ダウンタイムの期間が長くなります。
・直後はかさぶたになって、赤みが取れるのに1~2ヵ月かかります。
・赤みが残りやすいかたは、2~3ヵ月残ることもあります。
・赤みが消えてからでないと、次回の処置はできません。
・治療間隔は、1.5~3ヵ月ごとに行います。
・ダウンタイムがあるのが前提の治療となります。
・2~6回の治療が必要です。
一時的な副作用
・赤み、腫れ、熱感、ヒリヒリ感
・色素沈着
稀な副作用
・肥厚性瘢痕、ケロイド
・施術直後から数日間は、治療部位の赤みや腫れ、ひりひり感が続く。
・施術後2〜3日目頃から、治療部位が濃く着色してくる。
・施術後4〜5日目頃から、皮膚が剥けはじめ、色素沈着が目立ってくる。
・施術後7日目頃には、皮膚の剥けがおさまり、赤みが引いてくる。
ダウンタイムの期間は個人差がありますが、目安としては1週間程度です。
この間は、メイクをしてもニキビ跡の赤みや色素沈着が隠しきれない場合があります。
そのため、人前に出る機会が多いかたは施術を受ける日にちを調整しておくことをおすすめします。
日常生活の注意点
・施術後の通院:なし
・メイク/入浴:翌日から可能
・洗顔:施術後2時間後より可能
・入浴:当日はシャワー浴が可能、翌日より入浴が可能
・塗布後に患部はfrostingといって白くなり、その後数時間で褐色のかさぶたになります。かさぶたは5~10日くらいで取れますのでご自身では剥がさないでください。
・かさぶたがとれたあと、1〜3ヵ月程度色素沈着が起こることがあります。
・施術後は日常的に日焼け止めを使用し、紫外線から肌を守って保湿をしっかりと行ってください。
・施術後の皮膚は刺激に敏感となっていますので、摩擦などの刺激はしないようにしてください。
・ピーリング作用のあるお薬の使用は施術後1週間程度お控えください。
治療までの流れ
- 1 診断およびカウンセリング
- 医師がお肌の状態をチェックし、改善したい症状やお悩みについて、詳しくお話をうかがいます。
マッサージピールの治療の施術が可能であれば、治療の仕組みや効果、リスク、施術内容について丁寧にご説明いたします。
その後にご予約をお取りします。
- 2 治療前
- 施術前にメイクを落としていただきます。
メイク落とし・洗顔料は当クリニックにてご用意しておりますので、そちらをご使用ください。
- 3 施術
- まず、治療するニキビ・傷跡に印をつけます。50~100%のTCAを丁寧に傷跡の底に塗ります。10~15秒後に傷跡が白くなります。
施術後はヒリヒリとした痛みや温かさ、赤みや熱感、ヒリヒリ感を感じます。
この後、治療部位に軟膏を塗布します。施術時間は10~15分程度です。
- 4 アフターケア
- 必要に応じて塗り薬を塗布します。なお、施術後の数時間は肌が赤くなる可能性があります。施術箇所に直接、化粧はお控えください。
塗布してから2時間後にご自宅で軽く洗顔をして薬剤を洗い流していただきます。
よくあるご質問
TCAクロスとTCAピーリングの違いは何ですか?
TCAピーリングが比較的低濃度のTCAを広範囲に塗布するのに対し、TCAクロスでは40〜100%の高濃度TCAを凹みに点状に塗布します。
そのため、ダウンタイムは1週間程度と、TCAピーリングより長くなる傾向にあります。
TCAクロス治療の特徴は、以下の通りです。
・高濃度のTCAを使用し、凹みを治療の主眼に置いている
・表皮だけでなく真皮層にまで作用し、肌の再生を促す
・短時間で施術が完了する
何回の治療が必要ですか?
一般的には1ヵ月毎に、2~6回の治療が必要です。
治療のリスクとは何ですか?
どのような医療行為でも、100%安全な方法はありません。一定の確率でリスクがあることをご了承ください。
治療のリスクは以下の通りです。
・患部が黒くなること(炎症性のシミ)がありますが、通常は一時的なものです。
・治療後、2〜3ヵ月は赤みがでます。
・治療部位の皮膚の色が薄くなったり、白くなったりすることがあります(脱色素斑)が、これも通常は一時的なものです。ごくまれに永久的に続くこともあります。
・人によっては、効果がハッキリしないことがあります。
・ごくまれに傷跡が広がることがあります。
・まれに皮膚感染症を起こすことがあります。
効果はどのくらいで現れますか?
TCAクロスは、1回目の施術から最短で3~4週間後には改善が見られます。
2回目、3回目の治療では反応が見られないこともあります。3回治療しても改善が見られない場合は、治療を中止します。
色黒の肌にも安全ですか?
日焼けを避けることと摩擦の防止を守っていただければ、色黒の肌タイプのかたでも治療は可能です。
通常よりも色素沈着になりやすいとお考えください。
ダウンタイムはどれくらいですか?
TCAクロスのダウンタイムは約7日間です。
施術後は、赤みや腫れ、ひりひり感などが生じますが、徐々に落ち着いていきます。
ポテンツァやダーマペンとの違いは何ですか?
ポテンツァやダーマペンは、肌に極細の針を刺す治療法です。針を刺すことで肌に微細な傷をつけ、コラーゲンの生成を促進します。
TCAクロスとの主な違いは、針を使うか薬剤を使うかという点です。
ポテンツァやダーマペンは、比較的浅い凹みに効果的です。
一方、TCAクロスは深い凹みにも効果が期待でき、ニキビ跡の程度に合わせて使い分けられます。
また、ポテンツァやダーマペンは、ニキビ跡以外のシワやたるみの改善にも使用されます。
サブシジョンとの違いは何ですか?
サブシジョンは、局所麻酔後に、特殊な専用の針を使用して、クレーター状のニキビ跡の固く癒着した組織を切り離す治療です。
凹みの部分を持ち上げることで、凸凹を改善します。
TCAクロスとの主な違いは、針を使う外科的治療か、薬剤を使う非外科的治療かという点です。
サブシジョンは、深くて幅の広いクレーター状の凹みに対して効果的です。一方、TCAクロスは、深さや幅に関わらず、さまざまな凹みに効果が期待できます。
TCAクロスのデメリットはどんなことですか?
TCAクロスには、以下のようなデメリットがあります。
・ダウンタイムが1週間程度あります。
・施術直後は、ヒリヒリとした痛みを伴います。
・稀に、色素沈着や赤みが長引くことがあります。
・TCAクロスでは、深いクレーター状の瘢痕を完全に平らにすることは難しい場合があります。
・保険適用外の治療のため、費用は全額自費となります。
・複数回の治療が必要な場合があり、総額の費用がかさむ場合があります。
当院では、痛み止めの処方や、ダウンタイム中の過ごし方についてアドバイスを行っております。ダウンタイムがご心配なかたは、遠慮なくお申し出ください。
また、TCAクロスの効果には個人差があるため、治療後に思うような改善が得られない場合もございます。
リスクとデメリットを十分にご理解いただいた上で、治療をご検討ください。
自由診療における未承認医薬品等について
当院では、国内外の最新の皮膚科学的知見に基づき、自由診療としてさまざまな美容医療・治療法をご提供しています。
使用する機器や薬剤、施術等の一部は、医薬品医療機器等法上、日本国内において未承認または適応外使用となるものが含まれます。
これらは、医師の責任において個人輸入や正規ルートを通じて入手しており、諸外国(例:米国FDA、欧州CEなど)で承認を受けている薬剤や医療機器も含まれています。
国内での同等の承認品がない、または患者様にとって有効性・安全性が期待できると医師が判断した場合に限り、十分な説明とご同意のうえで提供しております。
自由診療のため、公的医療保険の適用外となります。費用や治療内容についてご不明な点がありましたら、どうぞお気軽にお問い合わせください。
料金表
TCAクロス
内容 | 1回 |
---|---|
1ヵ所 | 1,100円~ ※1回20ヵ所まで |
※表示金額は全て税込です
お支払方法
下記のお支払方法が可能です。
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