帯状疱疹ワクチン

過去に水痘や帯状疱疹などにかかったことがあるかたは、治った後もウィルスが体の中に潜んでおり、加齢やストレスなどで免疫が低下すると、帯状疱疹が発症する可能性がでてきます。
日本の成人では、およそ9割が、体内にウイルスを持っていると考えられております。
帯状疱疹に罹患するかたは年々増えております。
帯状疱疹は水痘ウイルスの暴露(水ぼうそうに罹患したり、水ぼうそうの予防接種を受ける)によって、神経節にウイルスが潜伏している状態になります。加齢や疲労、病気など、免疫力が低下したときなどにウイルスが再活性化することで、神経を伝いながら皮膚まで到達し、痛みや神経障害、皮膚症状などを引き起こすものです。

場合によっては「帯状疱疹後神経痛」と呼ばれる疼痛や、顔面神経麻痺や目の症状などの後遺症を残すことがある厄介な病気です。発症してしまったらなるべく早く皮膚科に受診してください。
帯状疱疹の予防には、主に2種類のワクチンが使用されています。それぞれの特徴や効果についてご紹介いたします。
ワクチンの種類
シングリックス(不活化ワクチン)
効果:50歳以上で97.2%の発症予防効果があり、帯状疱疹後神経痛の予防効果も85.5%と非常に高いです。
接種回数:2回接種が必要です。
予防期間:約10年の長期予防効果があります。
副作用:注射部位の痛み、発赤、腫脹、筋肉痛、疲労、頭痛などが報告されています。
弱毒生水痘ワクチン
効果:60歳以上で51.3%の発症予防効果があります。
接種回数:1回接種で済みます。
予防期間:効果は約5年程度です。
副作用:注射部位の発赤、そう痒感、熱感、腫脹、疼痛などが報告されています。
※どちらのワクチンが適しているかは、個々の健康状態や年齢によって異なります。医師と相談し、自分に合ったワクチンを選ぶことが重要です。
接種のタイミング
年齢
帯状疱疹ワクチンは、50歳以上のかたに接種が推奨されています。特に、帯状疱疹の発症リスクが高まる60歳以上のかたにとっては、早めの接種が効果的です。
免疫状態
免疫抑制療法を受ける予定がある場合は、治療開始の14日以上前に接種することが望ましいとされています。
季節
特に季節に関する制約はありませんが、体調が良い時期に接種することが推奨されます。
接種の間隔
シングリックス(不活化ワクチン)
2回接種が必要で、通常2ヵ月の間隔を空けて接種します。
弱毒生水痘ワクチン
1回の接種で済みます。
費用と助成金
シングリックス(不活化ワクチン)
1回あたり20,000~25,000円程度で、2回接種が必要です。
弱毒生水痘ワクチン
1回あたり6,000~7,000円程度です。
自治体によっては、帯状疱疹予防ワクチン接種に対する費用の助成を受けられる場合があります。詳しくはお住まいの市町村窓口にお問い合わせください。
接種のタイミングや適切なワクチンの選択については、医師と相談することが重要です。個々の健康状態や生活環境に応じて最適なタイミングを決定しましょう。
期待できる治療効果
帯状疱疹の発生率は、50歳代から高くなります。
50歳以上に対する帯状疱疹予防として、過去に水痘にかかったことがある人、帯状疱疹にかかったことがある人に水痘ワクチンを接種すると抗体が増えることがわかってきました。
帯状疱疹の皮膚症状が治った後も、何ヵ月、時には何年も痛みが残ってしまう「帯状疱疹後神経痛」になる可能性があります。帯状疱疹になった後に神経の痛みが残る重い後遺症で、なかなか治りにくいことが知られています。50歳以上で、水痘ワクチンを接種することで帯状疱疹後神経痛の予防も期待されています。
~こんなかたにおすすめです~
- 過去に水痘にかかったことがあるかた
- 帯状疱疹にかかったことがあるかた
リスク・副作用
副作用
下記に該当するかたは、帯状疱疹のワクチンをお受けいただけません。
ご了承ください。
・明らかに発熱されているかた(37.5度以上)
・明らかに免疫機能に異常のある疾患を有するかた
・副腎皮質ステロイド剤や免疫抑制剤などの治療を受けており、明らかに免疫抑制状態のかた
・重い急性疾患にかかっていることが明らかなかた
・このワクチンの成分によってアナキラフィシーを起こしたことがあるかた(薬やワクチンによってアレルギーを起こしたことがあるかたは医師にご相談ください)
・妊娠していることが明らかなかた
・ワクチン接種1ヵ月前から接種2ヵ月後まで、確実に避妊が必要です。
・先天性及び後天性免疫不全状態のかた
・例えば、急性及び慢性白血病、リンパ腫、骨髄やリンパ系に影響を与えるその他疾患、HIV感染またはAIDSによる免疫抑制状態、細胞性免疫不全などによる。
・その他、医師に予防接種を受けない方がよいといわれたかた
治療までの流れ
- 1 ワクチン接種のご予約
- お電話にて、帯状疱疹のワクチン接種をご希望とお伝えください。
ご予約をお取りいたします。
- 2 予防接種当日
- ご予約の当日にご来院後、ワクチン接種に関する問診票をご記入いただきます。
- 3 接種後
- 接種後の注意事項についてお伝えいたします。
よくあるご質問
帯状疱疹ワクチンは誰が接種できますか?
帯状疱疹ワクチンは、主に50歳以上のかたを接種対象としています。
帯状疱疹ワクチンの副反応はありますか?
ワクチン接種後には、注射部位の赤みやかゆみ、腫れ、痛み、発疹、倦怠感などの副反応が報告されていることがあります。
また、稀ですが、アナフィラキシーや血小板減少性紫斑病といった重篤な副反応が発生する可能性も指摘されています。
帯状疱疹ワクチンはどのくらいの期間効果がありますか?
シングリックスは、帯状疱疹に対する予防効果が少なくとも10年間続くことが確認されています。
帯状疱疹ワクチンはどのくらいの効果がありますか?
シングリックス(不活化ワクチン)は、50歳以上の人々に対して97.2%の発症予防効果を提供し、帯状疱疹後神経痛の予防にも高い効果があることが示されています。
帯状疱疹ワクチンの接種費用はどのくらいですか?
シングリックスのワクチンは2回接種が必要で、1回あたりの費用は約20,000円から25,000円です。
一方、弱毒生水痘ワクチンは1回の接種で、費用は約6,000~7,000円となっています。
帯状疱疹ワクチンの助成金はありますか?
自治体によっては、接種費用の一部を助成する制度があります。
水ぼうそうワクチンと帯状疱疹ワクチンの違いを教えてください。
水ぼうそうワクチンは、水ぼうそう(水痘)の予防を目的としたワクチンです。このワクチンは主に子供に推奨されていますが、特定の条件下では大人にも接種が勧められます。水ぼうそうの発症を防ぎ、また病気が重症化するのを防ぐ効果があります。接種は通常、1回または2回が必要とされています。
帯状疱疹ワクチンは、帯状疱疹の発症及び帯状疱疹後神経痛のリスクを減少させることを目的としています。このワクチンは50歳以上の成人が主な対象で、帯状疱疹の予防効果があり、万が一発症した場合には症状の軽減が期待できます。接種は、不活化ワクチンであるシングリックスが2回必要ですが、弱毒生水痘ワクチンは1回の接種で済みます。
共通点として、水痘ワクチンと帯状疱疹ワクチンはどちらも水痘・帯状疱疹ウイルス(VZV)に対する免疫を提供し、発症の予防及び重症化の防止に効果があります。主な違いは、水痘ワクチンが一般的に子供向けに、帯状疱疹ワクチンが高齢者向けに接種されることです。さらに、両ワクチンの接種回数や予防効果の持続期間にも差があります。
料金表
自治体の費用助成について
現在、お住まいの市町村によって接種費用の一部が助成される制度が実施されています。
助成の有無・金額・申請方法は自治体により異なります。
事前にお住まいの市町村や当院にご確認ください。