白斑(尋常性白斑)|まつもと皮膚科クリニック|福知山・丹波・丹波篠山市の皮膚科・美容皮膚科

白斑(尋常性白斑)|まつもと皮膚科クリニック|福知山・丹波・丹波篠山市の皮膚科・美容皮膚科

白斑(尋常性白斑) VITILIGO

白斑(尋常性白斑)

白斑(はくはん)は、皮膚の一部の色が抜けて、大小さまざまな白い斑点ができる病気です。メラノサイトという黒い色素を作る細胞に異常をきたすことで生じます。
「色素異常症」の一種です。

初期症状では、1cmほどの小さい白斑が数個できる程度で、皮膚の色がまだらに薄くなり、次第に「白いシミ」のようになって気づくことが多いです。皮膚の色が濃い人ほど白斑が目立ち、白斑のところから生える毛は白くなります。

皮膚の内側には「メラノサイト」という色素細胞があり、紫外線を吸収する「メラニン色素」を産生することで細胞を守る働きをしています。
ところが、何らかの原因でメラニン細胞が減ったり消失したりすると、その部分の皮膚の色が白く抜けてしまうのです。
好発年齢は小学生くらいから30代までの比較的若い世代ですが、年齢を問わず、高齢の人でも発症することがあります。

白斑の診断

一般的に、医師の視診による臨床的評価です。皮膚生検を行うことは基本的にありません。
さらに尋常性白斑の発症が確認されたとき、自己免疫疾患が背景にないか、合併症がないかを確認するための検査が必要になることがあります。
疾患によっては血液検査に加え、呼吸器などの内科、小児科、眼科、耳鼻科などでも精密検査を行います。遺伝子診断で疾患が診断できれば、合併しやすい病気を予測・特定することもできます。原因遺伝子が明らかであれば遺伝子診断が有効かつ確実です。
ただし、現在は色素異常症の遺伝子診断は保険適用外で、専門の病院をご紹介いたします。

白斑の分類

非分節型

体の左右に広く見られるタイプで、尋常性白斑の最も多くを占めます。
神経が支配する領域と関係なく症状が出るタイプ。顔や手足の指が中心の指趾顔面型(ししがんめんがた)や混合型、全身に拡がっていく汎発型(はんぱつがた)などが含まれます。
とくに、皮脂腺が発達している脂漏部位や、外からの刺激を受けやすい顔、首、腹、手足などに出やすい傾向があります。
非分節型は比較的落ち着いている時期と拡大あるいは新生する時期を繰り返しながら徐々に進行することが多いです。そして全身のどの部位にも出現する可能性があります。白斑は拡大傾向を示すことが多いです。

分節型

体の左右一方の皮膚分節と呼ばれる、ある神経の片側の支配領域にのみ発症します。左右片側の神経の通り道に沿って、急激に広がっていくタイプです。30代以下の若い人の発症が多いです。分節が複数になることもあります。
通常、活動性がなくなると白斑の拡大は見られなくなるとされています。

未分類型(限局型)

皮膚の一部に限局する白斑で、初期の症状としての限局型と、一病変だけの粘膜型が含まれます。大部分が汎発型、分節型に移行します。
症状の出方は人によってさまざまです。少しずつ拡がっていくことが多いのですが、まれに急なスピードで拡がっていくことがあります。

原因

白斑が生じる原因

白斑が症じる原因は、遺伝による先天性のものと後天性のものがあります。
原因としては、自己免疫によるもの(自分の中の抗体が、自分の味方であるメラノサイトを攻撃してしまい、色素がつくれなくなる)、遺伝子異常などのいくつかの仮設があります。
表皮の基底層や毛母に存在するメラノサイトが破壊されるか、機能が停止することによってメラニンをつくれなくなっている状態です。

先天性の白斑

メラニン色素合成遺伝子が変異または消失している、メラノサイト幹細胞に異常がある、メラニンの細胞内輸送分子に異常がある、メラノサイト遊走因子遺伝子が変異または消失している、など生まれつきメラニンが産生されない「眼皮膚白皮症(OCA1A)」によります。
メラノサイトは、紫外線から肌を守るために、メラニン顆粒を表皮細胞に供給する働きを持っています。
先天性の白斑は遺伝することがあり、家系内で多発する傾向があります。まれに甲状腺疾患、悪性貧血、糖尿病、胃炎などに併発することがありますので、血液検査を行うことがあります。

後天性の白斑

「尋常性白斑」と呼ばれるものが代表的で、色素をつくる細胞であるメラノサイトに対する自己抗体が、メラノサイトを攻撃してしまい、色素(メラニン)を作らせないような機能障害を引き起こすことが原因ではないかと言われています。
抗メラノサイト抗体やメラノサイト障害性T細胞などの自己免疫性のもの、疾患感受性遺伝子によるもののほか、皮膚の基底層に分布している色素細胞(メラノサイト)に、酸化ストレスや化学物質・薬剤、感染症など何らかの要素が異常を来すケースも、後天性白斑の原因として数えられます。

白斑の原因は他にもあります。
・白色癜風:カビ(マラセチア菌)による感染症
・単純性粃糠疹(はたけ):子供の乾燥性の湿疹、学童期の顔面に好発
・サットン母斑:ほくろの周りが白くなる
・老人性白斑:年齢とともに増加する境界不明瞭な小白斑が特徴
・炎症後色素脱失:湿疹ややけどなどの炎症があった部位に出現
・梅毒性白斑:後天性梅毒に伴ってまれに出現
・化学物質による白斑:ハイドロキノン誘導体、カテコール化合物、フェノール化合物などの反復接触による

他に、酸化ストレスによるメラニン産生の障害や、薬剤・化学物質によるメラノサイトの障害、梅毒などの感染症、神経伝達物質が分節型白斑の発症に影響を与えるといった原因でも同様の反応が起こることがあります。
過度のストレスは身体の血液のめぐりを悪くしたり、自律神経のバランスを崩したりすることがあります。その結果、白斑の症状が拡がったり悪化したりする可能性が示唆されています。とくに関連性が強いと考えられているのは、バセドウ病や甲状腺機能低下症、糖尿病などです。
ここでは、原因が明確に特定されない、特発性の白斑である「尋常性(じんじょうせい)白斑」について説明します。尋常性白斑は、後天性の白斑の中で最も多くみられるもので、人口の1~0.5%程度にみられます。
症状の出方はさまざまであり、小さいものから広範囲に及ぶものまであります。徐々に白斑が広がることも多く、手のひら、足の裏をのぞき、全身どこにでも発症します。ヒトにうつる病気ではありません。

自己免疫

自分の細胞が自分の色素を作る細胞(メラノサイト)を攻撃してしまい、色素を作れなくなってしまう状態です。

遺伝子の異常

20~30%の患者さまで家族歴があるかたがおられます。

日常生活の注意点

尋常性白斑の原因は、自己免疫の異常(自分で自分のメラノサイトという細胞を攻撃してしまい、色素を作れなくなる)が主な原因ではないかと考えられています。
よって治療方法は、異常な免疫系を調整・抑制することが必要になります。

紫外線対策を徹底しましょう

色素脱失を起こした病変部は急激かつ重度のサンバーン(光線過敏症、日光アレルギー)を引き起こして、かゆみを伴う発疹、水ぶくれ、赤みのある湿疹などを生じる可能性があるため、病変部は常に日焼け止めを塗るか、衣服で隠し、日光から保護することを徹底します。
さらに、顔など目立つ部分にできた場合はファンデーションなどでカバーするのもよいでしょう。白斑の見た目が気になるストレスは、症状を悪化させる要因にもなります。肌に合った化粧品で目立ちにくくすることは、年齢や性別を問わず、有効な対処法といえます。
また、メラニンが減少・消失しているため、皮膚の症状以外でも、視力障害が起こりやすい傾向があります。日常生活においても光を浴びすぎない、明るすぎない環境で過ごすように気をつけると良いでしょう。中年期意向は悪性腫瘍の発生リスクが高くなると言われているため、早期のご相談を推奨いたします。

皮膚は強くこすらない

汎発型(非分節型)白斑では、沈静期・増悪期を繰り返しながら徐々に進行していく傾向があります。増悪期では、ケブネル現象(健常皮膚に摩擦・日光などの刺激を加えると、同じ病変が生じる現象)を起こすことがあります。手背部(しゅはいぶ:手の甲)や腰背~下腹部などの皮膚には強い摩擦を加えないよう、顔や身体を洗うときは優しく洗い、ベルトや下着で締め付けないようにしましょう。

子どもの場合は自然治癒するケースがあり、初期に様子をみることもありますが、一般的には早期に治療を開始するほど改善しやすいと考えられています。症状に気づいたら、早めに医療機関で相談しましょう。

治療方法

塗り薬

ステロイド外用剤

白斑治療の第一選択となるお薬で、ステロイドには炎症を抑える作用があります。
初期段階や症状が軽い場合には、塗り薬のみで色素再生が期待できます。重篤な副作用はありませんが、長期間同じ部分に塗り続けると、皮膚が薄くなったり毛細血管が拡張したりする副作用がみられることがあるので、症状が落ち着いたら使用を中止します。小さい白斑の場合は、数ヵ月をめどに外用を続け、効果があるかを判定します。
広範囲に白斑が出現している場合は、小さい白斑に比べてステロイドの塗り薬の効果が乏しいと言われています。

ビタミンD3外用剤

活性型ビタミンD3には、メラニンの生合成を促進する作用があります。ビタミンD3単剤では効果が弱いため、通常、光線療法と併用します。
ステロイドやタクロリムス軟膏に比べて、副作用がとても少ないことから使用されることもあります。

タクロリムス外用剤

タクロリムスは免疫抑制作用のあるお薬です。診療ガイドラインの中でも推奨度Bとして薦められています。健康保険の適用外(自費治療)となりますが、近年、顔や首の白斑に効果的とする報告があります。
ステロイドに比べて、皮膚萎縮などの副作用の出現が少ないことも利点です。

ステロイド外用剤

ビタミンD3外用剤

副作用が少ない

タクロリムス外用剤

副作用が少ない

光線療法

ある波長の紫外線を白斑部位にあてることにより、色素再生を促そうとする治療法です。
日本皮膚科学会のガイドラインでは、紫外線療法は16歳以上の患者さまでは第一選択とされています。紫外線療法で使用されるのは、UVAとUVBの2種類です。

以前は、UVAを用いたPUVA(プバ)療法が広く行われていました。しかし、PUVA療法は事前に塗り薬や飲み薬を併用しなければならないこと、UVBより効果が低いことがわかったため、現在ではあまり選択されません。PUVA療法に変わって白斑の光線療法の主体は、UVBを用いた治療法になっています。
UVBは、中波長紫外線と呼ばれ、波長は280~315nmです。現在使われているUVBを用いた治療方法は、2種類あります。

UVBを用いた治療方法

週に1日程度の通院が必要で効果判定に約半年間を要します。
効果があれば継続しますが、皮膚がんの発生リスクが上がるため計200回を超さない程度に行います。紫外線量を上げる過程で紅斑、水疱、びらんなどの刺激症状が出現することがあります。有効であれば、白斑部分に点状に色素再生することが多いでが、白斑の周りの皮膚の色が黒くなることがあります。

ナローバンドUVB

主に全身に白斑が現れる「汎発型」の方に適応となる治療法で、白斑に対する光線療法の中で第一選択とされます。
ナローバンドUVB療法は、紫外線のうちUVB(中波長紫外線)の中でも311~313nm(ナノメートル)の幅の狭い波長(ナローバンド)のみを照射することで、色素再生が期待できます。通常のUVBに比べて効果は高いとされています。治療回数が多くかかることがあり、紫外線暴露による皮膚がんの発生リスクなどが懸念されています。
患者さまごとの皮膚のタイプや、1回あたりの光線量、白斑の部位によってもさまざまであり、一概に定義できないのが現状です。限られた狭い範囲の紫外線を照射するので、紫外線による副作用を最小限に抑えられます。
また、光感受性薬剤の塗布・内服といった治療前準備が不要なので、簡単に治療が行えます。

エキシマライト(当クリニックで採用あり)

エキシマライトは、UVBの波長の中で、308nmに限定した紫外線治療機器です。ナローバンドUVBより効果が高いと考えられます。
特に顔面、頚部(首)、体幹は、四肢(手足)よりも治療に反応しやすい傾向があります。健康保険での治療が可能です。しかし、紫外線をあてると言う行為は同様なため、皮膚がん発症のリスクはないとは言えません。1週間に1〜2回の照射が必要になります。痛みはありません。照射後の赤みがどれくらいの期間続くか見ていただき、ちょうど良いパワーで照射を継続していきます。
また、ナローバンドUVB療法と比べて、約100倍のエネルギー出力があるので、照射回数が少なく済み、治療効果も早く実感することが期待できます。病変部のみに照射できるので正常な皮膚への影響を回避できる一方で、広範囲の照射が難しいというデメリットもあります。

一般的に顔面は効果が出やすく、手足は効果が出にくいことが多いと言われています。色素が出てきますと、当初は濃くなりすぎて色むらが目立ちますが、徐々に馴染んできます。

ナローバンドUVB療法

エキシマライト

液体窒素による冷凍療法

超低温(約−200℃)の液体窒素を綿棒に含ませて白斑部に当てる方法です。治療に伴う痛みがあります。水ぶくれになったりすることもあります。
部位によっては多少の痕や炎症後色素沈着が残ります。1~2週間おきに通院するのが望ましいです。

内服療法

白斑は自己免疫の異常で出現すると言われており、異常な免疫状態を是正させるためにステロイドや免疫抑制剤が使用されます。
塗り薬と違い、飲み薬は全身に作用するので、副作用が出現する可能性も高くなることから、治療適応になるケースは限られます。ステロイドの内服は、進行していく白斑には有効と言われています。
長い間内服すると免疫力の低下や血圧や血糖値の上昇など、全身性の副作用が出る恐れもあるため、医師の指示を守って服用することが大切です。

ステロイド

免疫抑制剤

外科的治療(皮膚移植などの手術)
カモフラージュメイク療法(カバーメイク)

白斑に対する外科的治療は、「皮膚移植」が主に行われています。
神経の支配する領域に一致して症状が出る分節型の場合は、皮膚移植術がよく行われます。これは、白斑の部分を削り他の部分の皮膚を移植する方法です。実施できる病院が限られているため、症状の経過によって医師との相談が必要となります。吸引水疱蓋表皮移植術、ミニグラフトです。

まずは上記で説明した塗り薬や光線療法などの治療を1年以上しっかり行う必要があります。
治療をしてもこれ以上色素が増生せず少なくとも6ヵ月以上症状が固定した場合に検討します。ケロイド体質のかたはできません。
このような治療を行ったにも関わらず改善せず、特に整容的に問題になる白班のみが、外科的治療の適応になるとされています。外科的治療は、実施できる施設が限られております。
①~④すべてを満たす人(➀若年者、②外用療法や紫外線療法に効果がないこと、③数年間拡大のない、④顔や首などの露出部)に適応があります。日帰りで治療が可能です。植皮後、紫外線療法を半年間程度行います。効果は個人差が大きいので、まずは小さい範囲で試験的に行います。

その他に、医療用メイク用品を利用する方法もあります。医療的治療をせず、白斑を隠す方法で対応する方法です。メイク(カバーマーク、医療メイク用品もあります)やセルフタンニング用品などを使います。
白斑部分に白斑専用のファンデーション(市販品)などを塗ることで、正常皮膚との色の差を整えます。カモフラージュメイク療法は尋常性白斑に対する直接的な治療効果はありませんが、QOL(生活の質)を改善することが可能です。ただし、健康保険の適用はありません。
特に治療により副作用が懸念される場合や早期に日常生活を支障なく過ごしたい方にはこの方法を選択します。

外科的治療(皮膚移植)

医療用メイク用品

よくあるご質問

Q

人にうつりますか?

A

患者さまのお体の範囲で広がることはありますが、他人にうつることはありません。

Q

日常生活において、どのようなことに気を付ければ良いですか?

A

白斑は強い日焼けや物理的な刺激を受ける部位に出現しやすい傾向にあります。ベルトを強く締めすぎる、下着やアクセサリーなど肌に擦れる素材を身に着けている、タオルを用いて擦って体を洗っている、あかすり、など日常生活の悪化要因を発見し、回避するようにしましょう。

Q

光線療法は痛いですか?

A

いいえ。照射中は少し温かい感じがするだけで、通常痛みはありません。

Translate »